人生には、自分の力ではどうにもならないことがあります。
思いがけない出来事が起こったり、苦手な人と出会ったり、努力しているのに結果が出なかったりすることがあります。
一つの問題が終わったと思ったら、また別の問題が起こる。
「なぜ自分ばかり、こんな目に遭うのだろう」
そんな気持ちになることもあるでしょう。
苦しいことが続くと、人は少しずつ疲れていきます。
最初は「何とかしよう」と思っていたのに、何度も思うようにならないことが起こると、
「もう仕方がない」
「何をやっても無駄だ」
「自分の人生は運が悪い」
「周りに流されて生きるしかない」
と思ってしまうことがあります。
こうして、自分の人生を自分で動かしているという感覚を失ってしまうのです。
しかし、ジェームズ・アレンは、そんなときに「決意」というものの大切さを教えてくれます。
アレンは、次のように語っています。
「決意は、個人の進歩を促す推進力です。
決意のない人生は、目標のない人生であり、目標のない人生は、あてもなくさまよう不安定なものです。
決意と言うと、悪いことを断ち切るというようなマイナスな印象と結びつけて考える人もいますが、
ここで言う決意とは、現状に満足できないため、自身の人格や人生を構成する精神的資質を駆使して、
より良い自分になろうと着手し始めることを意味します。」
この言葉を読んで、私は「決意」とは、人生の舵を自分の手に取り戻すことなのだと思います。
運命のすべてを変えることはできません。
他人を思い通りにすることもできません。
過去をやり直すこともできません。
それでも、
「これから自分は、どう生きるのか」
を決めることはできます。
その小さな決意が、やがて目標を生み、行動を生み、人生を少しずつ変えていくのです。
決意とは「人生の舵を握ること」
船を思い浮かべてみてください。
船には舵があります。
舵を持っていれば、進む方向を選ぶことができます。
もちろん、海が荒れることもあります。
強い風が吹くこともあります。
大きな波に揺らされることもあります。
それでも、舵を握っていれば、「こちらへ進もう」と方向を決めることができます。
人生も同じではないでしょうか。
私たちは、人生で起こるすべてのことを選ぶことはできません。
しかし、起きた出来事に対して、
「自分はどうするのか」
を選ぶことはできます。
たとえば、誰かから嫌なことを言われたとします。
相手の言葉を止めることはできなかったとしても、
「この人の言葉に、自分の心まで支配させない」
と決めることはできます。
仕事で失敗したとしても、
「もう自分はダメだ」
と決めるのではなく、
「この失敗から一つ学ぼう」
と決めることができます。
思うように人生が進まなくても、
「何をしても無駄だ」
とあきらめるのではなく、
「今の自分にできる小さなことを一つやろう」
と決めることができます。
これが「決意」です。
決意とは、人生をすべて思い通りにする力ではありません。
思い通りにならない人生の中で、自分の生き方を選ぶ力なのです。
だから、決意をすることは、自分の人生の舵を握ることなのです。
「もっと良くなりたい」という思いから決意が生まれる
決意は、何もないところから突然生まれるものではありません。
その前には、
「もっと良くなりたい」
という気持ちがあります。
これが「向上心」です。
「もっと穏やかな人になりたい」
「人に優しくなりたい」
「怒りに負けない自分になりたい」
「もっと自分を大切にしたい」
「今より充実した人生を送りたい」
こうした思いが、心の中に生まれることがあります。
それは、とても大切なことです。
なぜなら、「今の自分を少し変えてみたい」と思えること自体が、すでに人生を変える第一歩だからです。
しかし、「そうなれたらいいな」と思っているだけでは、なかなか現実は変わりません。
そこで、
「私は、そういう人になろう」
と心を決める。
ここで「向上心」が「決意」に変わります。
「穏やかな人になれたらいいな」
ではなく、
「私は、穏やかな人になるために努力しよう」
となるのです。
つまり、
向上心は「こうなりたい」という思い。
決意は「そうなるために進もう」という心の方向づけ。
この違いが大切なのです。
決意をした瞬間、人生に方向が生まれます。
そして、方向が生まれると、希望も生まれます。
決意は「希望」を生み出す
私は、決意の持つ力の中でも、特に大切なのが「希望」だと思います。
人が苦しくなるのは、問題があるからだけではありません。
「この先もずっと、このままなのではないか」
と思ってしまうとき、人は深く落ち込んでしまいます。
たとえば、毎日が苦しくても、
「いつか、この状況を少しずつ良くしていこう」
と思える人には、未来があります。
反対に、
「どうせ何をしても変わらない」
と思ってしまうと、未来が見えなくなります。
だから、決意には意味があります。
決意とは、
「未来に向かって、自分から一歩を踏み出すこと」
だからです。
大きな決意でなくてもかまいません。
「明日は今日より少しだけ早く起きよう」
「今日は人の悪口を言わないようにしよう」
「嫌なことがあっても、すぐに反応しないようにしよう」
「毎日10分だけ、自分のために時間を使おう」
これでも立派な決意です。
そして、
「自分にもできることがある」
と思えることが、希望につながります。
決意は、未来を約束してくれるものではありません。
しかし、
「未来に向かって自分が動くことはできる」
という感覚を取り戻させてくれます。
それだけでも、心は大きく変わります。
目標を立てることで、決意は「行動」に変わる
ここで大切になるのが「目標」です。
決意は、心の中で生まれるものです。
「変わろう」
「もっと良くなろう」
「このままでは終わらない」
という思いです。
しかし、それだけでは、まだ行動にはなっていません。
そこで必要になるのが目標です。
たとえば、
「もっと健康になろう」
と決意したとします。
これは良い決意です。
しかし、「では、何をするのか?」が分かりません。
そこで、
「毎朝10分歩く」
という目標を立てる。
すると、決意が具体的な行動に変わります。
「もっと勉強しよう」
と決意したなら、
「毎日20分、本を読む」
という目標にする。
「穏やかな人になろう」
と決意したなら、
「腹が立ったときは、すぐに言葉を返さず、一度深呼吸する」
という行動を目標にする。
このように、
決意 → 目標 → 行動
という流れを作ることが大切です。
決意が「方向」なら、目標は「道しるべ」です。
そして、行動が「実際に歩くこと」です。
大きな目標でなくてもかまいません。
むしろ、苦しい状況にいる人ほど、小さな目標から始めることが大切です。
「人生を全部変えよう」とすると、苦しくなります。
でも、
「今日は一つだけ、自分で選んで行動しよう」
なら、できるかもしれません。
その小さな一歩が、次の一歩につながります。
「運命に流される人生」から「自分で選ぶ人生」へ
悪しき運命に翻弄されていると感じている人にとって、決意と目標は、とても大切な指針になると思います。
なぜなら、決意することによって、
「自分には、まだ選べることがある」
と思い出せるからです。
もちろん、何でも自由に選べるわけではありません。
他人の心を変えることはできません。
過去を変えることもできません。
起きてしまった出来事を消すこともできません。
それでも、自分の「次の一歩」は選ぶことができます。
たとえば、
「この人を変えよう」
ではなく、
「この人に対して、自分はどう接するか」
を考える。
「過去をやり直そう」
ではなく、
「過去から何を学んで、これからどうするか」
を考える。
「人生を一気に変えよう」
ではなく、
「今日できることを一つやろう」
と考える。
このように、意識を「変えられないもの」から「自分が選べるもの」へ戻していくのです。
それが、人生の舵を握るということではないでしょうか。
そして、ここで忘れてはいけないのが、決意をしたからといって、失敗しなくなるわけではないということです。
怒ってしまうこともあるでしょう。
怠けてしまう日もあるでしょう。
目標を忘れてしまうこともあるでしょう。
でも、それで決意が無意味になるわけではありません。
失敗したら、また戻ればいいのです。
「昨日はできなかった。でも今日はやってみよう」
それでいいのです。
決意とは、
「一度も道を外れないこと」ではなく、「外れても、また自分の決めた方向へ戻ってくること」
でもあるのです。
まとめ
人生には、自分の力では変えられないことがあります。
どれだけ努力しても、思うようにならないこともあります。
そんな日々が続くと、
「自分は悪い運命に流されている」
と感じることもあるでしょう。
しかし、そこで人生のすべてをあきらめなくてもいいのです。
ジェームズ・アレンは、
「決意は、個人の進歩を促す推進力です。
決意のない人生は、目標のない人生であり、目標のない人生は、あてもなくさまよう不安定なものです。
決意と言うと、悪いことを断ち切るというようなマイナスな印象と結びつけて考える人もいますが、
ここで言う決意とは、現状に満足できないため、自身の人格や人生を構成する精神的資質を駆使して、
より良い自分になろうと着手し始めることを意味します。」
と語っています。
この言葉から私たちが学べることは、
「自分の人生を、もう一度自分で選び始めよう」
ということではないでしょうか。
決意とは、自分を苦しめるためのものではありません。
「絶対に失敗してはいけない」と自分を追い詰めるものでもありません。
決意とは、
「私は、今より少し良い自分になろう」
と、自分の人生に方向を与えることです。
そして、その決意を具体的な目標に変える。
目標を、小さな行動に変える。
小さな行動を、毎日の習慣に変える。
その積み重ねによって、少しずつ自分自身が変わっていきます。
だから、今の人生に希望を失いかけている人に伝えたいのです。
あなたは、すべてを変える必要はありません。
未来を完璧に決める必要もありません。
まずは、
「私は、これからどう生きたいのか」
を一つだけ決めてみてください。
そして、
「そのために、今日何ができるだろう?」
と考えてみてください。
その小さな決意が、最初の一歩になります。
その一歩が、目標になります。
その目標が、行動になります。
そして、その行動が、未来を少しずつ変えていきます。
人生の海が荒れているとき、私たちは波そのものを止めることはできません。
風を自由に変えることもできません。
けれど、
舵を握ることはできます。
どれほど長い間、運命に流されていたように感じていても、今日からもう一度、舵を握り直すことはできます。
その最初の言葉は、きっと、とても小さなものです。
「私は、もう一度、自分の人生を生きてみよう」
その決意には、未来へ向かう力があります。
そして、その決意から、希望が生まれるのです。