「また同じことをしてしまった……。」
そんなふうに、自分を責めたことはありませんか。
恋愛では、いつも同じような人を好きになってしまう。
仕事では、何度も同じ失敗をしてしまう。
人間関係では、「もう繰り返さない」と決めたはずなのに、また同じことで悩んでしまう。
そのたびに、
「私はどうして変われないんだろう。」
「何度失敗すれば気が済むんだろう。」
そんな言葉を、自分に向けてしまいます。
失敗を繰り返すと、「自分は意志が弱い」「性格が悪い」「才能がない」と思ってしまうものです。
でも、本当にそうなのでしょうか。
もし、あなたの苦しみに別の意味があるとしたら。
もし、その失敗があなたを苦しめるためではなく、大切なことを教えるために起きているとしたら。
あなたは、その失敗を少し違った目で見られるかもしれません。
私がそんなことを考えるようになったきっかけは、ジェームズ・アレンのある言葉でした。
最初に読んだときは、とても厳しい言葉だと思いました。
「苦しんでいる人に、さらに厳しいことを言うなんて。」
そう感じたのです。
しかし何度も読み返すうちに、この言葉は苦しんでいる人を責めるためではなく、苦しみから抜け出す道を教えるための言葉なのだと気づきました。
今日は、その言葉を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
「また同じ失敗…」と自分を責めていませんか?
人は失敗すると、自然と原因を探します。
「もっと頑張ればよかった。」
「もっと気をつければよかった。」
「今度こそ失敗しないようにしよう。」
もちろん、それは大切なことです。
しかし、不思議なことがあります。
「今度こそ。」
そう思ったはずなのに、また同じことを繰り返してしまうことがあるのです。
恋愛では、相手が変わっても同じことで苦しむ。
職場が変わっても、人間関係で同じ悩みを抱える。
転職しても、また同じ理由で辞めたくなる。
もし場所も人も変わっているのに、同じ苦しみが続いているとしたら、その原因は外側だけではないのかもしれません。
ここで勘違いしてほしくないことがあります。
それは、「あなたが悪い」という意味ではありません。
そうではなく、
まだ気づいていないことがある。
ということです。
学校でも、新しいことを学ぶときは、最初から全部できる人はいません。
間違えながら覚えていきます。
人生も同じなのです。
失敗は、「あなたはダメです」という合図ではありません。
「まだ学ぶことがありますよ。」
という人生からのメッセージなのかもしれません。
ジェームズ・アレンは、苦しみをどう考えたのか
ジェームズ・アレンは、苦しみについて次のように語っています。
「あらゆる悪は正すことができます。
よって、不変の悪など存在しません。
悪は、無知からくるものです。
物事の本質と関係についての無知が根源なのです。
無知の結果ではない悪は、この世に存在しません。
悪から進んで学べば、私たちはより深い知恵を授かり、悪は消え去ります。
それにもかかわらず人々は悪にとらわれていますし、それは消えそうにもありません。
その理由は、悪から自ら学ぼうという意志を持たないからです。」
※ここでいう「悪」とは、不安・苦痛・悲しみなど、人を苦しめる心の状態のことです。
この文章を初めて読むと、
「苦しんでいる人に対して厳しすぎる。」
と思うかもしれません。
しかし、ジェームズ・アレンは「苦しむのはあなたが悪い」と言っているわけではありません。
むしろ、その反対です。
彼は、
「どんな苦しみにも必ず出口がある。」
と言っています。
最初の一文に、
「あらゆる悪は正すことができます。」
と書かれているのは、そのためです。
つまり、
「あなたの苦しみは、一生続くものではありません。」
という希望の言葉なのです。
私たちは苦しみが続くと、
「もう変われない。」
「自分はこのままだ。」
と思ってしまいます。
でもジェームズ・アレンは、
「そんなことはありません。」
と力強く語っています。
その理由は、とてもシンプルです。
苦しみには必ず原因があり、その原因が分かれば、苦しみとの向き合い方も変えられるからです。
「悪は無知からくる」とは、どういう意味なのか
この言葉の中で、一番大切なのが、
「悪は、無知からくるものです。」
という一文です。
ここでいう「無知」と聞くと、
「勉強していないこと。」
「知識が少ないこと。」
と思う人が多いでしょう。
でも、ジェームズ・アレンが言いたい無知は、それとは少し違います。
彼が言う無知とは、
「自分の心を知らないこと」
です。
例えば、いつも人の顔色を気にしてしまう人がいます。
「嫌われたくない。」
「迷惑をかけたくない。」
そんな気持ちから、いつも相手を優先します。
すると、心はどんどん疲れてしまいます。
でも、その人は、
「私は優しいから疲れるんだ。」
と思っています。
本当でしょうか。
もしかすると、その奥には、
「嫌われたら自分には価値がない。」
という思い込みが隠れているかもしれません。
本人は、その思い込みに気づいていません。
だから、何度も同じ苦しみを繰り返してしまうのです。
仕事でも同じです。
失敗するたびに、
「もっと頑張らないと。」
と思う人がいます。
でも、本当は頑張りすぎているから失敗していることもあります。
完璧を求めすぎて、心も体も疲れ切っているのです。
それでも本人は、
「努力が足りない。」
と思い続けます。
これも、自分の心を知らないという意味での「無知」なのです。
だからジェームズ・アレンは、
「物事の本質と関係についての無知が根源なのです。」
と言いました。
苦しみを生み出している本当の原因に気づかなければ、
場所を変えても、人を変えても、同じ出来事を繰り返してしまいます。
では、どうすればその繰り返しから抜け出せるのでしょうか。
その答えが、ジェームズ・アレンの言う「悪から学ぶ」という生き方です。
人は、苦しみをなくしたいと思う。でも、学ぼうとはしない
ジェームズ・アレンは、こんな言葉を残しています。
「悪から進んで学べば、私たちはより深い知恵を授かり、悪は消え去ります。それにもかかわらず人々は悪にとらわれていますし、それは消えそうにもありません。その理由は、悪から自ら学ぼうという意志を持たないからです。」
この言葉は、とても考えさせられます。
私たちは苦しみを感じると、まず「早くこの苦しみをなくしたい」と思います。
落ち込んだら、気分転換をしようとします。
不安になったら、その不安を忘れようとします。
悲しいことがあれば、「早く元気にならなければ」と思います。
もちろん、それが悪いわけではありません。
心を休ませる時間は、とても大切です。
しかし、それだけで終わってしまうと、苦しみが教えようとしていることに気づけません。
たとえば、学校のテストで間違えた問題を考えてみましょう。
答えだけを書き直しても、「なぜ間違えたのか」を考えなければ、また同じ問題で間違えてしまいます。
人生も同じです。
苦しみを消すことだけを考えていると、同じ出来事が形を変えて何度も目の前に現れます。
恋愛でも、仕事でも、人間関係でも、「また同じことが起きた」と感じることがあるのは、そのためなのかもしれません。
人生はあなたを苦しめようとしているのではありません。
「まだ気づいていない大切なことがありますよ。」
と、何度も教えてくれているのです。
苦しみは、あなたを成長させる人生の先生
では、苦しみから学ぶとは、どういうことでしょうか。
それは、「なぜこんな目にあったのだろう」と考えることではありません。
もっと大切なのは、
「この出来事は、私に何を教えようとしているのだろう。」
と問いかけることです。
この一つの質問が、人生を少しずつ変えていきます。
たとえば、職場で失敗をして落ち込んだとします。
以前なら、
「私は仕事ができない。」
と思って終わっていたかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみると、
「完璧にやろうとして、一人で抱え込みすぎていた。」
ということに気づくかもしれません。
恋愛で同じ失敗を繰り返す人なら、
「私は相手に嫌われないように、自分の気持ちを言わずに我慢していた。」
ということに気づくかもしれません。
人間関係でいつも疲れてしまう人なら、
「私は人に認められることばかり考えて、自分の心を後回しにしていた。」
ということに気づくかもしれません。
苦しみは、私たちに痛みだけを与えるものではありません。
その奥には、自分でも気づいていなかった考え方や思い込みを教えてくれる力があります。
だからジェームズ・アレンは、「悪から進んで学べば、より深い知恵を授かる」と語ったのでしょう。
苦しみはなくならなくても、見方は変えられる
ここで一つ、大切なことがあります。
この記事を読んで、
「これからは苦しまなくていいんだ。」
と思わないでください。
人生には、悲しい出来事もあります。
思い通りにならないこともあります。
大切な人との別れや、病気や失敗など、自分の力ではどうにもできないこともあります。
そうした出来事まで、「すぐに前向きになろう」と考える必要はありません。
悲しいときは、悲しんでいいのです。
苦しいときは、苦しいと感じていいのです。
ジェームズ・アレンが伝えたかったのは、
「苦しみを感じるな。」
ということではありません。
「苦しみを通して、自分を知ることができる。」
ということです。
出来事そのものは変えられなくても、その出来事から何を学ぶかは、自分で選ぶことができます。
その選択が、少しずつ人生を変えていくのです。
今日からできる、小さな一歩
もし、あなたが今、同じ失敗を繰り返して苦しんでいるなら、今日から一つだけ試してみてください。
失敗したとき、自分を責める前に、こんな質問をしてみるのです。
「この出来事は、私に何を教えようとしているのだろう。」
すぐに答えが見つからなくても大丈夫です。
大切なのは、問い続けることです。
人は、自分に問いかけた言葉の答えを、少しずつ心の中から見つけ出していきます。
そして、その答えが見つかったとき、同じ出来事でも以前ほど苦しまなくなっている自分に気づくでしょう。
それが、ジェームズ・アレンの言う「知恵を授かる」ということなのだと思います。
まとめ
何度も同じ失敗を繰り返すと、
「私は変われない人間なんだ。」
と思ってしまいます。
でも、本当はそうではありません。
あなたは変われないのではなく、まだ気づいていないことがあるだけなのです。
失敗は、あなたを責めるために起きているのではありません。
苦しみは、あなたを苦しめ続けるためにあるのでもありません。
それらは、自分自身をもっと深く知るための入り口です。
だから、今日も失敗してしまったとしても、自分を責めすぎないでください。
「また失敗した。」
で終わらせるのではなく、
「この失敗は、私に何を教えようとしているのだろう。」
と問いかけてみてください。
その問いを持ち続ける人は、少しずつ自分の心を知り、少しずつ人生の見え方が変わっていきます。
ジェームズ・アレンは、「苦しみには意味がある」と教えてくれました。
その意味を知ろうとする人は、苦しみに負ける人ではありません。
苦しみを人生の先生に変え、自分自身を成長させていく人です。
もし今、あなたが同じ失敗を繰り返して苦しんでいるなら、その苦しみをどうか無駄なものだと思わないでください。
その苦しみは、未来のあなたがもっと穏やかに、もっと自分らしく生きるために必要な学びなのかもしれません。
そして、あなたが今日、自分に向かって「この出来事は何を教えてくれているのだろう」と問いかけた瞬間から、その学びはもう始まっているのです。