ジェームズ・アレンは語ります。
現実の中で経験する厳しさや痛みは、成長するための通過点に過ぎません。
人生の苦しい経験は、最終的に、知識の果実をより豊かに実らせることになります。
経験も知識もなければ、不安に襲われ、暗い夜を過ごさなければならないこともあるでしょう。
しかし、それは、新たな歓びに溢れた穏やかな朝を迎えるために、用意されたようなものです。
生涯現役で、自分のみならず、愛する人と幸せな成功を分かち合おうと志すのであれば、まさに、今、この瞬間において、自分が終わりなき成長の途上にあることを、自らに言い聞かすことが大切です。
生涯現役で生きることも、幸せな成功者になることも、その本質に目を向ければ、今、現在、どんな立場のどんな年齢の方であっても、志として掲げ、歩める道である、というのが、私の現時点での学びの結論です。
ジェームズ・アレンの言葉を繙きながら、「生涯現役で幸せな成功者へと成長するための道」と題して、述べさせて頂きます。
運命を越える力~自分が終わりなき成長の途上にあるという自覚
自分が辛く苦しい思いをして生きている時、周りの悩みとは無縁に見える人達と接し、自分の運命を呪いたくなる時があります。
また逆に、自分が絶好調で何をやっても上手くいく気がしている時は、周りの人達が抱える苦しみや痛みに鈍感になりがちです。
自分の抱える苦しさだけに意識が行き、世の中を呪うだけの心理状態が続いた結果、いきなり刃物を振り回して無差別に人を切りつけるような行動を起こす人がいます。
また、なんでも自分の思い通りになる状態が続き、傲慢になった結果、人の痛みを感じることなく、人の道に外れた言動を取る人がいます。ある大学の運動部の監督が、相手チームの選手に怪我を負わせることを前提とするようなプレーを指示していた疑いがある、というニュースも過去にありました。
両方とも、自分の目の前に立ちはだかる現実の厳しさを成長するための通過点と受け止められなかった結果なのかもしれません。
前者は自分の経験する苦しみを成長への足掛かりにするための思考や知識を得ることが出来なかったケース。後者は自分が手にした地位において、さらなる自他の成長のために何が必要かを知ることが出来なかったケース。
この両方のケースに共通する本質は、人は誰しもが死ぬ寸前まで明日のことなど正確には分からない生涯を生きており、今、この瞬間において、自分が成長の途上にあるという自覚が、運命を越える力になることを知らないことにあると思えます。
「作用反作用の法則」~心の平静を失うことに見られる「原因と結果の法則」
物理学では、「物体Aが物体Bに力を加えるとき、物体Aは反対向きで同じ大きさの同一作用線上にある力を物体Bから受ける」という「作用反作用の法則」を学べますが、人間の運命とでも言うべきものを考えてみる時、この「作用反作用の法則」に似たものが確かに働いていることが分かります。
苦難・困難に直面した時に多くの人は平静を失うものです。また、プレッシャーに直面した時も平常心を失いやすいものです。
普段なら絶対にしないような言動も、心がかき乱された状態の時はしてしまいます。そして、そのような言動を取った後には、必ず何らかの反作用がきます。
自己嫌悪という自分の感情だけで終わってくれるものならば、まだマシなのですが、他者との関わり合いの度合いに応じて、その反作用は大きくなります。
「作用反作用の法則」を、人間の精神・心の在り方や、それに基づく思考や行動、そして形作られる運命といったものに適応させて考えてみれば、心の平静を失うことに見られる「原因と結果の法則」が、はっきりすると思います。
物理学上の「作用反作用の法則」は、物質とその運動に基づく力の法則を表しますが、「原因と結果の法則」は、物質のみに限定されて適応されるものではないので、現状、数式で表現できていないだけではあるが、確かに存在する法則であることは、容易に分かります。
幸せな成功を目指す人のための自戒の言葉
心の平静、あるいは平常心を失った状態の言動による反作用の大きさを、事前に正確に把握することは、困難です。というより、平静を失っている時というのは、事後のことなど考える余裕がないので反作用の大きさ云々などは、当人にとっては無意味でしょう。
ジェームズ・アレンは語ります。
人のあらゆる弱さ、罪深さ、堕落は自分の心の中から生じるものであり、責任はその人にのみあるのです。
誘惑や挑発が存在するのは事実ですが、それらに反応する気持ちがなければ、誘惑も挑発もその人にとっては無力なのです。
今、まさに現在進行形で苦悩を抱え、平静心・平常心を失っている方に、ジェームズ・アレンのこの言葉を投げかけたいとは思いません。
自分の中に誘惑や挑発に反応する気持ちがなければ、それらは無力である、というのは真実ですが、今、現在、ある種の混乱状態にある人にとっては、納得よりも反発の方が強いというのが、私自身の過去を振り返っても想像できます。
しかし、生涯現役で幸せな成功を目指すと決めた人は、「誘惑や挑発が存在するのは事実だが、反応する気持ちがなければ、それらは無力である」という、この真実の言葉に耳を傾けることは重要です。
そして、苦難・困難・プレッシャーに直面した時に、自分自身や周囲の人間を破滅的な苦悩に追い込むような言動を防ぐ戒めにした方がいいでしょう。
希望とする言葉~生涯現役で幸せな成功者へと成長するための道
償いきれない後悔を抱えている方、あるいは、理不尽としか言いようがない他人の過ちに巻き込まれた方には、冒頭のジェームズ・アレンの言葉にこそ、希望を見出して頂きたいと思います。
現実の中で経験する厳しさや痛みは、成長するための通過点に過ぎません。
人生の苦しい経験は、最終的に、知識の果実をより豊かに実らせることになります。
経験も知識もなければ、不安に襲われ、暗い夜を過ごさなければならないこともあるでしょう。
しかし、それは、新たな歓びに溢れた穏やかな朝を迎えるために、用意されたようなものです。
新たな歓びに溢れた穏やかな朝を迎えるためのもの・・・疑いを向けたくなるような言葉かもしれません。それでも、やはり、この言葉が真実であることを希望として頂きたいと強く思うのです。
「現実の中で経験する厳しさや痛みは、成長するための通過点に過ぎない」というのは、ジャンルを問わず多くの成功者が語る言葉であると思います。逆に言えば、現実の厳しさや痛みに飲み込まれて、それを成長の通過点として捉えることが出来ないのが、人の弱さでもあるでしょう。
「人生の苦しい経験は、最終的に、知識の果実をより豊かに実らせることになる」と言っても、一体それが何になるのかと天を見上げて叫びたくなることだってあると思います。今は、最終的に知識の果実を豊かに実らせることを望んでいるのではなく、ただ、この苦痛に対する答えそのものが欲しいのだ、と言いたい時だってあると思います。
だからこそ、私は、生涯現役で幸せな成功者へと成長するための道を、今、まさに自分自身が歩もうとしているのだという自覚が、苦しみ、悲しみ、痛みを越え、新しい喜びと安らぎを得るための希望になる、と考えるのです。
だからこそ、私は、生涯現役で生きることも、幸せな成功者になることも、その本質に目を向ければ、今、現在、どんな立場のどんな年齢の方であっても、志として掲げ、歩める道である、と思えるのです。
生涯現役で幸せな成功を追い求める意味
人類が誕生してから、どれだけの人生がこの世界で展開されてきたかを想像してみて下さい。その、どの人生をとっても、全く同じ人生など一つも存在していません。まるで、流れる川の泡沫(ほうまつ)のごとく、湧いては消え、湧いては消える命ですが、そのどれ一つをとっても、全く同じものではないことを考えてみると、人は皆、それぞれの人生において、何かしらの作用をこの世界にもたらしている、と思えて仕方がないのです。
一人一人が残した作用が、また反作用となり、この世界を形作ります。まるで、川の流れの中で生まれた泡沫の一つ一つが、川の流れや姿形に影響を受けて生まれ、同時に川の流れや姿形に影響を与えて、連綿と続く川の流れを作っているかのようにも思えるのが、人間とこの世界の関係のようでもあります。
物理学上の「作用反作用の法則」を、人の運命や思考・行動にまで広げて考えてみれば、私たち一人一人が生涯を通じてこの世界に残す作用は、反作用として、新しい世界の姿形に影響を及ぼすと言えるでしょう。
生涯現役で幸せな成功を追い求める意味は、一人一人の思考と行動が原因となり、この世界の姿形という結果で現れ、また、これからの世界の流れに影響するからであると考えます。だから、今、この瞬間において、自分が終わりなき成長の途上にあることを、自らに言い聞かすことが、自らの愛する人と分かち合う幸せな成功を、生涯を通じて味わうためには、大切であると思えるのです。
まとめ
生涯現役で幸せな成功者へと成長するための道とは、運命とでも言えるような大きな流れの中にあって、その大きな流れはこの世界に生き続ける一人一人の人間の思考と行動が、この世界を形作る作用を与えていることを知ることであり、今、この瞬間において、自分が終わりなき成長の途上にあることを自覚して生きることにより、自ら自身がこの世界に作用をもたらす、創造的な存在であることを自覚することだと思うのです。
生涯現役で生きようとする方々、幸せな成功者にこそなろうと意欲している方々、そして、すでに幸せな成功者として歩んでおられる方々と共に、この世界をより良くする働きの一部として、私のこれからの人生を創造していきたいと強く思います。
お読み頂き、ありがとうございました。
引用元:
ジェームズ・アレン著「ジェームズ・アレン 人生を変える幸せの黄金法則 完全版」(2015年「ゴマブックス株式会社」発行)p.37
ジェームズ・アレン著「ジェームズ・アレン全一冊」(2015年「株式会社KADOKAWA」発行)p.292,p.293