ジェームズ・アレンは語ります。
人生で起こるありとあらゆることは、心から生じます。
心は習慣の組み合わせから成っています。
そして習慣は、辛抱強い努力によって、いかようにも変えることができるのです。
つまり、人は習慣を好きなように支配する力、自身を解放する力を持っているのです。
生涯現役で活き活きした状態で生きるためには、いかなる習慣を形成するかが大きな鍵になります。人の心の在り方は、その人がどのような習慣を持っているかに表れます。心と習慣は相互に影響し合い、その人の人生そのものとなります。
ジェームズ・アレンの習慣に関する洞察から得られる学びを書き綴らせて頂きます。
目には見えないが確かに存在する衣:人格
各人の心が、各人の人生の決定者になります。
あなたの思考が糸であり、良い行為や悪い行為となって、縦横に紡がれていきます。そうして、作られた衣服があなたの人格となります。
あなたの心は、自らが作り上げた人格という衣をまといます。
あなたの心も思考も人格も、他者の目に見られることもなく、触れられることもありませんが、確かにあなたの人生における幸せや成功に大きな影響を与えます。
「裸の王様」という寓話を思い出してみて下さい。
王様が、自分の豪華な衣を国内で最も評判の高い職人に作らせました。
職人は出来上がった衣を手に、「この衣は最新の技術を使い、賢いものにしか見えないように作り上げました」と言うのです。
王様は自分がその衣を見ることが出来ないことを恥ずかしく感じ、見えているかのように振舞います。
そして、国民の前で存在しない透明の衣をまとった姿で行進します。
賢いものにしか見えない衣ということなので、国民の大勢が、見えていないのに、それを見えているかのように振舞い、あれこれ賞賛の声をあげます。
その中で、一人の子供が言うのです。
「見ろ、王様が裸で歩いているぞ。バカだな~」
幸せな成功者は、この寓話の滑稽な王様のようになるのではなく、目には見えないが確かに存在する人格という真実の衣を、自らの内面で真剣に注意深く紡ぎ、心にまとっている気がします。
生涯現役で誰もが歩める道~人格を磨く
幸せな成功者といえども、生まれ落ちた時から優れた人格を持っていたわけではありません。
彼らとて、その数十年の人生の中で、裸の王様のような状態になることもあれば、周りに合わせて賢いふりをする国民のようになることもあります。あるいは、人の心の弱みにつけ込むずる賢い職人のようなことをしてしまうことだってあるでしょう。
しかし、人生のどこかで正直な子供の声を聞きます。
それは、病気であったり、人の裏切りであったり、愛する人との死別であったり、大きな自然災害であったり、社会で目にする事件であったり、様々な形をとった声なき声です。
無視することも可能な声なき声に耳を傾けることを選んだ彼らは、栄光も挫折も、勝利も敗北も、成功も失敗も、自分の心の内側から外側へと広がり、姿を現したものであることに思い至ります。
そして、彼らは生涯終わることがないものでありながら、有益で、また楽しいものである、人格を磨く道を歩みます。
幸せな成功者が穏やかであり、寛容であり、そして賢明であるのは、自分自身もまた、他の人と同じように、終わることのない人生の旅の途中であることを自覚しているからだと思います。
誰もが生涯現役で歩み続けることが可能な道は、人格を磨く道であると考えます。
幸せな成功者に見られる3つの性格とそのための習慣
ジェームズ・アレンは語ります。
今確立されているあらゆる精神の状態は、獲得された習慣です。
同じような思考を絶えず繰り返すことによって、そのような状態が確立されたのです。
落ち込みやすい性格、元気な性格、怒りっぽい性格、落ち着いた性格、強情な性格、寛大な性格、あらゆるこうした性格は、自身の選択によって築き上げられた、無意識の習慣です。
こうした習慣から人の人生は始まるのです。
終わることのない人生の旅の途中において、幸せな成功者は全ての人の精神の状態が無意識の習慣によって確立されていることに気付きます。
その無意識の習慣は、日頃の自分の言動の選択に現れて、さらに、その言動の選択が自分の新しい無意識の習慣に影響することを観察します。
彼らの穏やかな性格は、日常の地味な仕事を心から愛し、地道にコツコツ積み重ねる習慣で培われます。
彼らの寛容な性格は、自分にもたらされている日常の恵みに対して素直に心をひらき、受け入れ、感謝する習慣で培われます。
彼らの賢明な性格は、今この瞬間の自分の人生に集中して、自分が出来る最善のことに全力を尽くす習慣によって培われます。
そうして、彼らは、ますます穏やかになり、ますます寛容になり、ますます賢明になり、ますます幸せな成功のための習慣を身に付けていきます。
富める者と貧しき者を分けるもの~心の在り方と習慣
「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」という言葉がありますが、この言葉の意味を深く考えてみることが大事な気がします。
私は、決して物質的なことを言っている訳ではないと確信しています。
単純に物質的、金銭的なことを言っているのだとしたら、我々は巨大な古墳を作った古代の王様の支配を今も受けていることになるはずです。そして、私なんぞが幸せな成功者を目指すなどと言えることもなかったでしょう(笑)
「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」これは、やはり人間の持つ心の在り方と習慣にこそ、その真意があると見るのが合理的です。
今、現在、どのような環境に生きていようとも、その環境を作り変えていくための出発点は、いつだって各人の決意にあることは明白です。
経済的な貧しさが、その決意の次に来る具体的な行動の選択肢を限られたものにしてしまうことは事実です。しかし、よくよく考えてみれば、どんなに多くの選択肢が目の前にあったとしても、実際に起こす行動は誰であっても一つです。
各人の目の前にある道が一本であろうと、十本であろうと、百本であろうと、各人が実際に歩むことができる道は、誰であっても、ただ1つです。
今、自分が置かれている環境を自分にとって望ましいものに作り変えるために必要なのは、歩める道が何本あるかではなく、前に進むという強い決意であり、自分の持つ心の在り方と習慣によって、見い出すことができる道が変わる気がします。
つまり、たとえ、最初の一歩が限られた道を歩むしかないものであったとしても、自分の持つ心の在り方と習慣が富める者にふさわしいものであれば、その道の途上にある分岐点を見い出せる、ということです。
習慣を支配する力は誰にでもある
ジェームズ・アレンは語ります。
人生で起こるありとあらゆることは、心から生じます。
心は習慣の組み合わせから成っています。
そして習慣は、辛抱強い努力によって、いかようにも変えることができるのです。
つまり、人は習慣を好きなように支配する力、自身を解放する力を持っているのです。
あなたの人生はあなた自身の心によって作られ、その心はあなたの習慣によって作られます。そして、人は誰もが自分の習慣を変える力を持っています。
日々の地味な仕事を心から愛し、地道に積み重ねることは、誰にとっても出来ることです。自分にもたらされている日々の恵みに感謝することも、今この瞬間に集中して、自分が出来る最善のことに全力を尽くすことも同様です。
王侯貴族に生まれても、その心の習慣が貧しければ、いずれ没落するし、一般庶民の生まれであっても、その心の習慣が富めるものであれば、やがて、それにふさわしいものを手にすることになります。
もちろん、これは世代を超えての話ではありますが、現代のように変化のスピードが凄まじい時代にあっては、誰にでも自分にとっての幸せな成功を実現するチャンスはあると考えていいはずです。
どんな人間であっても、歩める道が一つであるがゆえに、目の前に存在する道の数よりも、実際に歩んでいるその時の各人の心の在り方と習慣が、その道の先にどのような人生が展開するかを決めるのです。
まさに、今のあなたの人生において、あなた自身を解放する力の源は、あなたの心の習慣にこそあるのです。
まとめ
私はまだまだ穏やかな心、寛容の心、賢明な心、そして、こうした心を培う日常の習慣の確立において、未熟な者ではあります。
しかし、誰もが生涯現役で歩み続けることが可能な道は、人格を磨く道であると心得て、幸せな成功者の方々が人知れず毎日積み重ねている習慣を思い描きながら、私自身も終わりなき人生の旅を歩みつつ、ささやかなものであっても幸せな成功を手にしようと強く思うのです。
お読みいただき、ありがとうございます。
引用元:
ジェームズ・アレン著「ジェームズ・アレン全一冊」(2015年「株式会社KADOKAWA」発行)p.111,p.109