ジェームズ・アレンは語ります。
「人は誰もが、心の中で考えている通りの人間である」という格言は、私たち人間の人格だけではなく、人生のあらゆる条件や環境にも言えることです。
人は文字通り、「自分が考えているものそのもの」なのです。
人の人格は、自身の抱くあらゆる思いの完全な総和なのです。
幸せな成功者の思考や行動に学び続けていると、彼らの全人格が発する影響力・感化力というものに思い至ります。そして、ふと思いついたのです。誰もが、生涯現役で成しえることは人格を磨くことではないのか、と。
ジェームズ・アレンの言葉より、人格の陶冶(とうや)について書き綴らせて頂きます。
奇跡的な確率で存在する「あなた」と「私」
今、あなたがここに存在しているということが、どれ程までに奇跡的なことであるかを考えてみて下さい。
「人間が生まれる確率」で検索してみたのですが、数字とその論拠になる考え方が提示されています。ここでは、割愛させて頂きますが、よくよく考えてみると、確かにそうだよな、と私には思えました。
あなたが幸せな成功を目指す時、自分自身が幸せな成功に値するかけがえのない存在であることをはっきりと自覚することが重要です。そして、大切なのは、あなたの生命が奇跡的な存在であると同じく、他者の生命もまた奇跡的な存在であるという事です。
あなたが他者の存在をないがしろにして、ただ、自分自身の幸せや成功のみを求めても、それは無理というものです。なぜなら、あなたが望むものを実現する根拠は、あなたの人生はあなたの強い思いによって作られることにあり、あなたという存在が奇跡的な存在であるからこそ、その強い思いは肯定されることにあるからです。
もし、あなたがあなたと同じく奇跡的な存在である他者をないがしろに扱っているとするならば、それは、あなたが望むものを実現できる根本的な拠り所を、あなた自身が壊していることと同じです。あなたが幸せな成功に値するかけがえのない存在であることを、自分自身で否定していることと同じです。
幸せも成功も、他者との関わりの中で生まれる
自分が幸せな成功を望むとき、他者との関係に思いを巡らせないわけにはいきません。私自身は独りでいる事の方が好きな性分ではあるのですが、それでも、過去のささやかな幸せな体験や小さな成功体験の多くは人々との交流の中で生じていることに気づきます。
そうですね、一番ポピュラーな幸せな体験で言えば、食事でしょうか。
独り暮らしをしたことのある人なら誰でも思い当たることがあると思うのですが、目の前にある料理が同じものでも、誰かと一緒に食事を採る方が単純に楽しいなと感じる。料理を作るにしても、自分のためだけに作るより、誰かと一緒に食べるために作る時、一段と美味しいものを作ろうとするし、結果的に美味しいものが出来る。
小さい頃、私は家族との食事を疎ましく感じていたことが多かったです。
ただ、独り暮らしを経験した後では、なんだかんだと言って、誰かと一緒に食事をするからこそ、規則正しい食生活を保てるし、料理を作るにしろ、食べるにしろ、喜びを感じられる面はあるな、としみじみ感じることがあります。
幸せな成功を目指す時、自分自身が幸せな成功に値するかけがえのない存在であることをはっきりと自覚することと同時に、幸せも成功も、他者との関わりの中で生まれることを、はっきり知ることが大切になります。
人格の陶冶~生涯現役で幸せな成功のために誰もが成しえること
ここで、問題になるのが、あなたにとっての幸せや成功と、他者にとっての幸せや成功が必ずしも一致しない、ということです。
あなたにとっての幸せな成功が他者との関わり合いの中に生まれるにも関わらず、他者にとっての幸せな成功は、あなたが望む幸せな成功と一致しないことが多くあるから、人は自分自身が幸せな成功に値するかけがえのない存在であると自覚したとしても、苦しみや悲しみを経験することになります。
では、こうした時に幸せな成功を目指す私たちが心得るべきことは何でしょうか。
ジェームズ・アレンは語ります。
「人は誰もが、心の中で考えている通りの人間である」という格言は、私たち人間の人格だけではなく、人生のあらゆる条件や環境にも言えることです。
人は文字通り、「自分が考えているものそのもの」なのです。
人の人格は、自身の抱くあらゆる思いの完全な総和なのです。
私はこの言葉に、幸せな成功を目指す途上に現れる苦しみや悲しみは、自分の人格を磨くための砥石であると、ジェームズ・アレンは言っていると考えます。
他者との軋轢(あつれき)がやむを得ないものであったとしても、そこを乗り越えるための力の源泉は、その人の人格にあると思います。
幸せな成功を目指す途上で、他者との間で、避けられない軋轢が生じたとしても、憎しみや怒りの連鎖を最小限にするものが、その人の人格の力です。
あなたに公正公平な思考と態度があれば、それだけで、あなたを攻撃する者も、あなたに対して敬意を払わずにはいられなくなります。
あなたに清らかで無私なる人格が備わっていれば、一時的な苦しみや悲しみを経験することがあっても、必ず、あなたをその苦しみや悲しみから助けようとする人が現れます。
その人の死後、その清らかで無私なる人格ゆえに、時代を超えた支持を得る方もいます。
誰しもが、死ぬその寸前まで、幸せな成功のために成しえることは、自らの人格を磨くことです。
幸せな成功の実現には、自らの人格を磨く意志が必要であり、生涯現役で追求すべきテーマではないか、と私は考えます。
まとめ
幸せな成功を目指す上で、心得るべきことは、自分も他人も奇跡的な存在であることを思い出し、幸せも成功も人との関わり合いの中で生まれることを自覚することです。そして、その中で生じる痛みや苦しみ・悲しみは自分自身の人格を磨くための砥石であると考えれば、そこに生涯現役で追求すべきことが見えてきます。
私自身、生涯現役で幸せな成功を実現する過程で、少しでも、幸せな成功者の人格に近付き、少しでも多くの人達と幸せな成功を分かち合える人格を磨き続けたいと思うのです。
お読みいただき、ありがとうございました。
引用元:
ジェームズ・アレン著「ジェームズ・アレン全一冊」(2015年「株式会社KADOKAWA」発行)p.16